[タイトル]なのはなすたいる

いもいも(download)

いもいも[タイトル画面]

いもいも[妹と朝の会話画面]

今回のレビューは同人サークル「PALETTE」の「いもいも」です。

まず最初に目に付くのは設定です。

妹萌えの主人公・藤原一真は妹萌えであり なんと岬という義妹がいて名前でしか呼んでくれない。 だから「おにいちゃん」と呼ばせたい。 みたいな感じの設定です。

これはありそうでなかった設定だと思います。 義妹みたいな設定はよくあると思いますが 「おにいちゃん」と呼ばせたいってところから 入る作品は珍しいです。 これはラストの着地が気になります。

そんな感じでプレイを進めていきました。 最初にクリアした時のこれからも兄妹でいようね的なルートの 最後がありましてこれはちょっと良い話って感じで あっさり終わっていて ちょっと寂しい感じだなと思っていました。 なので一週目の印象はそこまで強くはありませんでした。 えっ、これで終わり?みたいな感じです。

しかし全ルートプレイした後だと"義妹"というテーマで よく練られているお話だと思いました。 何故かというと兄も妹も内に秘めている思いというのは どのルートでも変わらないと思うんです。 だけど同じ思いを抱えていても行動によっては 結果が違ってきます。 そういったことが表現できているから 深みがあります。

また義理の妹の岬以外にも陽菜(あきな)と京子という ヒロインがいます。 陽菜は勝気で主人公の幼馴染で 京子は世の中を斜に見ていて少しひねたところのある女の子です。 この二人のEDも義妹との関係について触れている部分もあるので 意外と重要です。

気になることはいくつかあります。 このゲーム短編ながら全クリアが意外と難しいんです。 これによって全クリアまでやらない、途中で投げてしまう人もいるのでは?と。 一つのEDだけでもつまらないことはないんですが全ルートをやると 深みが増すような気がするのでもっと攻略が単純であれば良かったです。

後は少々分かりづらいタイトル画面が気になりました。 タイトル画面でいもいも(上記の画像参照)って出てくるのですが これは"い""も""い""も"の文字がボタンになっていて これをクリックするとゲームを開始したりロードしたりできますが 初見の時はどこのボタンが何の動作をするのか分からない のでちょっと困りました。

そしてセーブが分かりづらいんです。 画面の右上(上記の画像参照)に見える稲妻のボタンを押すとセーブ出来ます。 このあたりはreadme(このゲームにはreadmeに類するものが付いていません)等に書いてあれば 迷わずに済んだかもしれません。

ですがキャラが喋る時にカットインの入る演出は小洒落ていると思います。 これはテンポの良さが出てます。

あまり関係ありませんが主人公の部屋の背景がなかなかいい色使いで良い部屋だなと思いました。 今まででやったノベルゲーの中で一番に入るくらい好きですね。

これは気になるというか個人的な印象なんですけど この題材は長編向きだと思うんです。 他人が身内になって家族として暮らしていくという距離感を 描くというのは短時間では難しいと思うんです。

それでこの作品は短編ながらも必要なスパイスは入っており EDもなかなか良いんですが やはりプレイ時間が短いので物足りない感があるんです。 間にいろんなイベントを盛り込み「兄」、「義妹」の関係を 描写して人間模様に迫っていけばまた別の面白さがあったと思います。 単にこの作品の設定が好みだったので長く楽しみたいってだけなんですけどね(笑)

この作品が短編ながらも良かったのは 描写に時間のかかる無駄な設定がなく 「おにいちゃん」と呼ばせたいというギャグっぽい キモとなる設定が面白いからだと思います。 またギャグみたいなはじまり方なのに いい終わり方をしているEDがあるので ギャップがありそれがいい味を出してる からではないでしょうか。

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