5本目のレビューは「春椿」です。
この作品はいわゆる病院モノで癌で余命わずかの女性椿と死神のテレンスの交流が
描かれる作品です。
椿ですが末期患者の心理が違和感なく描かれていると思います。
おそらくですが癌にかかったら最初は否認から入るんだと思います。
なんで私なの?、死ぬのは怖い、でもどうあがいても死ぬんだっていう段階を経て
(表面的には)死ぬことを受けれた状態とういうのがあるので末期癌というキャラ設定に違和感はありません。
そんな椿ですが時間が経つ(≒死に近づいていく、テレンスとの交流が深まる)につれて
心境が変化していきますが、これがこの作品の見所だと思います。
死に向かうにつれて人は何を考えるのかっていうのが病院モノの大事な要素だからです。
また椿には声がついていてけっして上手ではなくたとたどしいのですが
椿に合っている好演で声優さんの良さが出ていたのではないでしょうか。
ですが世界観というかバックグラウンドが見えにくいと思いました。
ただ椿とテレンスの会話部分がしっかりしています。
椿とテレンスの俗世間からはずれた会話が面白いです。
なので世界観やバックグラウンドを楽しむというより椿とテレンスの交流に
注目するといいかもしれません。
演出ですが全体を通して背景が白黒なんですがそれが
この作品の雰囲気にあっていたと思います。
またテレンスの死神という奇抜に見える設定ですが実は派手でなく
むしろ作品の随所で縁の下の力持ちのような感じで効いていて
物語に深みを与えていました。
ラストですがネタバレになるので深くはいえませんが
「春椿」の世界では魂が存在するんですがそれが椿の心の状態を表しており
椿がああいうことになった時の心境が想像できていいとおもいます。
エンディング曲はMeikoというボーカロイドを採用した曲ですが
機械っぽさは少しあるものの歌として聴けますね。
曲自体も雰囲気にあっていると思います。
「春椿」は派手な作品ではありませんが心に残る何かはあると思いますので
病院モノという題材に飽きた方にもオススメできる作品です。