四本目のレビューはシナリオの鉄人参加作品「月夜に処女は恋文を濡らす」です。
シナリオの鉄人とは十六点の素材(BGM3曲、背景3枚、立絵2キャラ×5表情の10枚)のみを使って
ゲームを作りシナリオの出来のみで勝負が決まるという企画です。
まずタイトルが挑戦的ですね。つきよにおとめはてがみをぬらすというのが
読み方です。
全く関係ありませんが商業のPCゲームの「処女はお姉さまに恋してる」(おとめはぼくにこいしてる)
を思い出してしまいました。
タイトルも衝撃的でしたが内容も衝撃的です。
まず冒頭で主人公で女教師の真弓(デフォルト名)が正体不明の女生徒から
自宅に手紙が送られてくるのですが、それが淫乱でレズビアンを思わせる
文章でツカミはバッチリです。
手紙の衝撃さに目がいきがちですが真弓の心理描写がしっかりしていて
文章力のある作者さんだと思いました。
真弓の他に清花(さやか)とみちるという女の子が出てきますが
この三人の関係が面白いです。ただみちるがちょっと可哀想です(笑)
清花は計算高い悪女ですね。
EDが6つありどれも濡らすや濡れたという言葉が入ったエンディングナンバーで
エンディングの内容をよく表している題名の付け方だと思いました。
ゲーム本編ではありませんがあとがきで
少ない素材で素材数以上の効果を狙っていることや
主人公を女にしてハーレム系ギャルゲーを回避したようなことを
述べています。
この発言からよく考えられて作られたことが伺え
なおかつ作者の目論見が成功している点に関心しました。
一つ気になることは内容が内容だけに人を選ぶ作品だということですね。
序盤の手紙はいろんな意味で怖いのでそれで止めてしまう人もいるかと。
ホラーテイストと淫靡な感じが合わさって独特の怖さが出ているのが
楽しめる人にとっては面白く感じると思います。