[タイトル]なのはなすたいる

潮騒の街(download)

潮騒の街[画面]

注意:この作品をプレイするにはRPGツクール2000 RTPというものが必要です。 ここからダウンロードして インストールして下さい。料金は無料です。

二本目のレビューは都会の生活に疲れ、海の見える街へ移り住んできた男が街の人間 とのエピソードを追う「潮騒の街」です。

この作品はRun Time Party!! 2という企画で公開された作品で 一般的なノベルゲーム製作ツールの吉里吉里やNScriptではなく RPG製作ソフトのRPGツクール2000で製作されています。

RPGツクールでノベルゲームと思うと奇妙な感じはしますが Run Time Party!! 2と似た企画のGirls Partyでは RPGツクールを使ってノベルゲームに類する作品が多く見られます。 それでRun Time Party!! 2という企画はツールに付属の素材、 いわゆるRTPだけでゲームを作るという企画です。
どういうことかというとツールに付属している最低源の素材を使って(素材サイトからの素材の追加なしで) 面白いゲームを作りましょうということです。 最初から用意されている素材は凝ったものやイメージ通りのものがあるわけではないので 作者の力量(文章力、構成)が直に問われることになります。
ここまでの流れでシナリオの鉄人を 思い出された方も多いはず そういう方にはRun Time Party!! 2はRPG版シナリオの鉄人 のようなものとお考え頂ければ理解が早いかもしれません。

冒頭で都会の生活に疲れ、海の見える街へ移り住むということを述べましたが そうすると田舎暮らしでのんびり暮らして心を落ち着かせてめでたしめでたしみたいな ことが思い浮かびますがこの作品はそんなに甘くはありません 都会の生活に疲れとあるので主人公は繊細な心の持ち主だと思います。
なので田舎でも様々な人々と出会って心を動かしていくわけです。 そんな風に展開していくのですがこの作品は心情描写が細やかで 感情移入しやすいです。

またこの作品はRPGという性質を上手く利用出来ていると思います というのもユーザーが何か行動(例えば本を読む)を起こすと 何かしらのリアクション(感動した)があるというのが 1対1の関係になっているので話が分かりやすくなっているんですね。
普通のノベルゲームの場合ユーザーに行動を起こさせる仕掛けといえば 選択肢が挙げられます。 しかし選択肢は時に選ばされている、または誘導されていると取られかねない 場合もあります。 その点RPGでの行動はそのようなわざとらしさが軽減される点では利点になっていると思います。 RPGでもあんまりやりすぎると面倒臭くはありますけれど……

もちろんデメリットもありまして、もともとノベルゲーム用のツールではないので 当たり前のことですがバックログがありません。 あとセーブして再開した時にどこまで進んだかが分かりにくいです。 なのでプレイ時間が長いノベル志向のゲームはRPGには不向きだと思われます。 幸い短い作品でしたので一気にやり終えることが出来ました。 また文章を読むところとユーザーの行動の量のバランスがとれていて 飽きませんでした。 なので短い話ながらも充足感のあるいいゲームだと思います。
RPGということで敬遠してしまうかもしれませんがプレイして損はないと 自信を持って言えます。 海の見える街へ来るきっかけ、隣人との交流、兄の来訪、女性との出会い等 一つ一つが良いエピソードなのでご堪能あれ

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