今回レビューするのは中華風ファンタジー「黄昏を見つめて」です。
ふりーむより引用すると
青年、神楽は少女、旋律と妖魔の千尋と共に旅を続けていた。
旅の途中で立ち寄った村である妖魔の噂を耳にする。神楽達はその噂を確かめるために…。
彼らは"ないもの"を追いかけ、取り戻すために探し求め続ける
――。
一章のストーリーより。
これだけだとちょっと分かりにくいと思うので補足すると
妖魔によって旋律は見た目が10歳のまま(実年齢24歳)時を止められてしまい
神楽と旋律は、元凶である妖魔を探し、元に戻してもらうことが旅の目的です。
さて内容にうつりますが、
最初は宿敵を倒してハッピーエンドっていう分かりやすい王道かと思いましたが
二章からの意外な展開になっておおっとなりました。
具体的に言うと"ないもの"の存在が早い段階で出てきて、
神楽たちと関わりを持つようになることですね。
私はそこから物語に、引き込まれていきました。
"ないもの"の存在により単なる復讐劇にならず、
神楽が、自分の心と向き合うというのが面白いところでした。
なのでこの作品は自分の過去との決別を、宿敵の出会いで果たすというのがテーマなのではないかなと感じました。
文章なんですが、ファンタジーだとくどくて厨二臭くなることも多いんですが、
すっきりしていて読みやすかったのは好印象。
展開も、シリアスだったりコミカルだったりするのが、入り混じるのでなんともいえない空気感や、
決して上手とは言えない絵が、いい味を出してるかと
旅している二人が、恋人に類する関係でないのが、
個人的には良いポイントだと思いました。
この作品で恋愛描写を入れてしまうと、
テンポ感が失われてありきたり感がでてしまうのではないかと
また"ないもの"が最後までここぞという時に現れて、、
物語にスパイスを与えるということをしている、この作者さんは
キャラメイクやストーリーを作るのが上手だなと関心させられます。
あえて気になったことを言うと、あんまり中華っぽくないかなって感じが。
選択肢も大きな意味はないような気もします。
選択肢はアナザーエンドみたいなもので、こういう未来もあったかもって
いう感じでした。ifバージョンというか、そのような印象を受けました。
父親を殺されたのにあんまり恨んでる様子がないのは、
旋律なら不自然はないんですが、
そこら辺も少し言及して欲しかったような。
父親が殺されたことには、折り合いをどう付けたのかな等。
旋律の過去の葛藤みたいのも、もう少し出しても良かったかもしれません。
システム面の細かいところですが、字が少し小さいような気がします。
環境に拠るかもしれないのでなんともいえませんが、少し見づらいと感じました。
一見ありきたりで王道に見ますが、実は深い作品なのでお勧めできる作品です。ぜひプレイあれ。